倉敷医療生活協同組合 玉島協同病院(TAMASHIMA KYODO HOSPITAL)

電話番号:086-523-1234

医療安全指針/個人情報保護

当院における医療安全対策について

1.はじめに

当院では、医療の安全を最優先課題として取り組んでいます。そのために職員用マニュアルを作成し、公開しています。(受付窓口にファイルを置き、また、ホームページにも載せています。)職員用マニュアルは、なじみのない方には、わかりにくいと思いますので、気軽に読んでいただけるように、作成しました。内容は、一般的な医療事故への対応の考え方と、当院の具体的な取り組みについてです。
どうぞお読みください。

2.医療事故の基本的考え方

以前は、医療事故はあってはならないものと考えられていました。しかし、人間はまちがえるものです。医療の仕組みも、人はまちがえるといったことを前提に組み立てなければなりません。もちろん医療事故はあってはならないものですが、もし不幸にして起こってしまったら、事故を起こした人を責めるのではなく、起こしてしまった背景 、 システムを検討しなければなりません。そのためにも、医療事故や事故を起こしそうになった経験(ヒヤリハットあるいは、アットヒヤリと言っています)をきちっと集めて、分析し、公表し、みんなのものにすることが大変重要になってきます。
さらに、事故を起こしてしまったら、直ちに最善の処置を行い、被害を受けたご本人、ご家族に事情を説明することが当然必要です。
以上は、現在医療事故に対する基本的な考え方ですが、当院もこういった考え方にたって医療事故対策を行っています。

2-1.スイスチーズモデル

下の図は、事故を考える場合のモデルです。スイスチーズとは、穴のあいたチーズです。アニメのトムとジェリーでお馴染みですね。医療に限らず、様々な産業は、一つ一つの工程からなりたっていますが、その工程ごとに潜在的に事故を起こしうる「穴」があるということです。不運にして、図のように一つ一つの「穴」をすり抜けてミスが連なると、重大事故になると言う考え方です。つまり、一つ一つの工程で、間違いが起こりやすいところはどこかチェックし、このミスが一本の矢印のようにつながらないようにすることが、事故対策となるわけです。

2-2.ハインリッヒの法則

下の三角形の図は、ハインリッヒの法則と言われているものを表しています。これは、昔、ハインリッヒという人が、労災事故を分析して、提唱したものです。つまり、一つの重大事故の影には、29の軽度な事故がおこっており、また、その影には300の「ヒヤリ」とした事故へのニアミスがあったと言うことです。
こういった、ニアミスや軽度な事故をきちっと集積し、分析、対応することで重大事故が防げるということです。
当院では、事故報告書、ヒヤリハット報告書といったものを職員が書く様に推奨しています。また、報告書を書くのみでなく、是正処置・予防処置といって、同じ事が二度と起こらないように、作業のあり方や施設の改善を行うようにしています。

3.当院の体制

  • ◇医療安全の最終責任は院所長です。
  • ◇医療安全委員会を月1回開催しています。
  • ◇そこで事故の分析や、事故に至らなかったが、ヒヤリとしたりハットした事例の検討を行っています。また、医療安全に関する職員教育の計画もたてています。
  • ◇外来・各病棟にリスクマネージャーを配置しています。
    ※ リスクマネージャーとは、職場での安全推進をはかる担当者で、
    医療安全についての研修を受けています
  • ◇倉敷医療生協は昨年ISO9001という国際的な品質マネージメントの基準の認証をうけました。ISO9001は不具合があれば必ず是正をしなければならない仕組みとなっています。指示内容、また、是正された行為がきちんと行われているかどうか、内部監査(当倉敷医療生協の他部署の職員が監査する)と外部監査(外部の専門の認証機関がおこなう)を定期的に行っています。

4.具体的な取り組み

医療事故対策の具体的な取り組みについて、いくつかの例をあげてみます。

  • ◇同姓同名の方には、「同姓同名あり」とカルテに記載しています.
  • ◇注射のとき、お名前をお伺いします。
  • ◇注射や点滴時複数の職員で内容を確認しています。
  • ◇病棟でお薬を配るときは、声を出してお名前を確認していま す。
  • ◇転倒・転落防止のため、あらかじめその危険性を評価し、マットを敷いたり、手すりを設置したり予防策を講じています。
  • ◇医療事故に関する報道は毎日チェックし、当院で同様なことが起こらないように広報したり、対策をとっています。
  • ◇マニュアルを整備し、手順の確認を徹底しています。
  • ◇間違いやすい名前の薬剤は、極力採用しないようにしています。
  • ◇危険な薬剤は、一般の薬剤と別保管しています。
  • ◇安全についての職員教育を最低年2回行っています。
  • ◇カルテを開示しています。

医療事故を防ぐためには、医療従事者のみの取り組みのみでは不十分であり、患者様や組合員さんの協力が必要と考えています。

以上当院の医療安全の考え方と取り組みをご紹介しました。みなさまのご理解とご協力を宜しくお願いします。

当院における医療安全管理指針

[1]目的

この指針は、玉島協同病院及び合同事業所において、医療介護事故(以下、「事故」という。)の発生を予防し、医療介護の質の確保及び安全な医療介護供給体制を確立することを目的とする。

[2]用語

この指針で使用する用語を次のように定義する。

■ リスク
  • ① 事故発生の危険性
  • ② 事故それ自体
  • ③ 事故の発生の条件、事情、状況、要因、環境
■ リスクマネジメント

定義:マネジメント一般の領域にある専門分野のひとつであり、組織がその使命や理念を達成するために、その資産や活動に及ぼすリスクの影響からもっとも費用効率よく組織を守るための、一連のプロセス。

医療における目的:事故防止活動などを通して、組織の損失を最小に抑え、医療の質を保証すること。

特徴:①組織全体でとりくむこと
②リスクの[把握]-[分析]-[対処]-[評価]のプロセスが継続するシステムを構築すること。

具体的手法

  • ① 事故やヒヤリ・ハット(インシデント)に関する報告により早期にリスク情報を把握すること
  • ② 人間はエラーを犯すということを前提に、個人ではなくシステムの問題と捉え、是正や予防の視点で事故やヒヤリ・ハットの原因や状況の分析を行うこと
  • ③ 原因分析の結果を踏まえて、事故発生の防止策と事故発生後の対応策を講じ、必要な情報を現場のスタッフにフィードバックすること。
  • ④ 対処に当たっては、結果の重大性や頻度に基づいて優先順位を決定し、また、その対処策の有効性について評価を行うこと。
■ 医療/介護事故

医療/介護にかかわる場所で、その全過程において発生するすべての人身事故で、以下の場合を含む。なお、医療従事者の過誤、過失の有無を問わない。また、被介護者の被害・損傷の有無を問わない。

  • ア.死亡、生命の危険、病状の悪化等の身体的被害及び苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合。
  • イ.患者が廊下で転倒し、負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない場合。
  • ウ.患者についてだけでなく、注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合。
■ 医療過誤
医療事故の一類型であって、医療従事者が医療の遂行において、医療的準則に違反して患者に被害を発生させた行為。
■ ヒヤリ・ハット(偶発事象)、ニアミス
日常診療の現場でヒヤリとしたり、ハッとした経験を有する事例で、未然に発見して事故にならなかったものをいう。
■ エラー
人間の行為が、①作為者自身が意図したものでない場合、②規則に照らして望ましくない場合、③第三者からみて望ましくない場合、④客観的期待水準を満足しない場合に、その行為を「エラー」という。エラーがすべての事故につながるというわけではない。

[3]医療事故防止のための基本的事項

職員は、次のような基本的事項を意識し行動しなければならない。

  • (1)「危機意識」を持ち業務に当たる。
  • (2)患者最優先の医療を徹底する。
  • (3)医療行為においては、業務マニュアルの遵守、確認・再確認を徹底する。
  • (4)利用者と職員、職員同士の円滑なコミュニケーションとインフォームドコンセントに配慮する。
  • (5)記録は正確かつ丁寧に記載し、点検を行う。
  • (6)情報の共有化を図る。
  • (7)組織的な管理体制を構築する。
  • (8)自己の健康管理と職場のチームワークを図る。
  • (9)教育研修システムを整える。
  • (10)管理部自らが率先して医療事故防止に対する意識改革を行う。

[4]体制と対策

(1)事故防止のための院内組織体制の確立

①管理会議
  • ・管理会議は、事故防止のための最終責任を持つ。
  • ・管理会議は、医療安全委員会の報告の討議のみでなく、管理部独自としても事故の問題を取り扱う。
  • ・管理会議のもとに院内医療安全管理部門を設置する。
  • ・部門に医療安全管理者を配置する。
  • ・医療安全管理部門の業務指針・業務基準、医療安全管理者の業務は別に定める。
②医療安全委員会
  • 医療安全委員会の所掌事務を以下のようにする。
    • ア)ヒヤリ・ハット報告等の分析による医療事故防止対策の検討および研究に関すること。
    • イ)事故の分析および再発防止策の検討に関すること。
    • ウ)事故防止のために行う職員に対する指示に関すること。
    • エ)事故防止のために行う院長等に対する提言に関すること。
    • オ)事故防止のための、啓発、教育、広報及び出版に関すること。
    • カ)医療訴訟に関すること。
    • キ)その他事故に関すること。
  • ・月1回開催し、その内容を管理会議に報告する。また、その内容についてリスクマネージャーを通じて各職場に周知する。(委員会報告は、管理会議のみでなく、リスクマネージャーにも配布する。)
  • ・委員会の構成は次のとおりとし、構成員の任命は、管理会議が行う。委員会の責任者は医師とする。
    医師、看護部長、事務長
    薬剤科、診療技術科、看護部、事務部
③リスクマネージャーの配置

医療安全委員会の構成員をリスクマネージャーとする。

・任務
  • ア)各職場における医療事故の原因及び防止方法並びに医療体制の改善方法についての検討及び提言。
  • イ)事故/ヒヤリ・ハット報告について、職責者と協力しSHELモデル等を使用し分析する。
  • ウ)委員会において決定した事故防止及び安全対策に関する事項の所属職員への周知徹底、その他委員会及び関係者との連絡調整。
  • エ)職員に対するヒヤリ・ハット体験報告の積極的な提出の励行。
  • オ)その他事故の防止に関する必要事項。
④事故報告書
  • ・事故、ヒヤリ・ハット発見者and/or当事者は、報告書を、翌日までに職責者に提出する。
  • ・報告書の作成方法及び活用並びに管理等については、「不適合サービス管理手順」に定める。

(2)院内管理体制

①診療録等の記載
  • ・院長回診、新患C.C.のときチェックする。
  • ・定期的なカルテ監査も考慮する。
②医療機器の管理体制
・下記の医療機器に関する管理体制を明確にし、使用状況、保守点検内容、トラブル発生時の連絡先等をすぐわかるようにしておく。
 人工呼吸器
 輸液ポンプ
 心電図モニター
 カウンターショック
 救急セット
 内視鏡
③医薬品等の管理体制
・社団法人日本病院薬剤師会の「医薬品・医療用具関連事故防止について-すべての薬剤関連業務の再点検を!!」を参考にしながら、医薬品の管理業務を行う。

(3)業務マニュアルの作成

日常的な医療安全のための配慮は、業務マニュアルの中で定める。

(4)患者、家族、組合員への協力要請

  • ・事故防止のため患者、家族、組合員に協力を要請する。
  • ・入院案内、病院紹介に事故防止についての項目を入れる。
  • ・カルテ開示も事故防止の一貫として位置付ける。
  • ・事故防止のための提案を受ける。
    職責者への口頭・文書による提案
    虹の意見箱の利用
    *出された提案には、誠実に応えること。

[5]医療事故発生時の対応

「国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針」(平成17年3月3日国立大学附属病院長会議常置委員会)を参考に、ヒヤリ・ハット、事故を、次のとおり障害の内容並びに程度及び継続性をもとにレベル分類して対応する。

レベル 内容 程度および継続性
5 死亡した場合(原疾患の自然経過によるものを除く) 死亡
4 永続的な障害が残る場合 高度、中・軽度(永続的)
3b 濃厚な治療や処置(予定外の処置や治療、入院、入院期間延長など)が必要となった場合 高度(一過性)
3a 軽微な治療や処置(消毒、湿布、鎮痛剤投与など)が必要となった場合 中度(一過性)
2 患者のバイタルサインに変化が生じたり、確認のために検査の必要性が生じたりしたが、処置や治療は行わなかった場合 軽度(一過性)
1 エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られ、患者に実施されたが、実害がなかった場合 なし
0
ヒヤリ・
ハット
エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者には実施されなかった場合 なし

ここでのレベル分類は、便宜上のものであり、完全に正確に分類できるものではない。レベルがどちらか悩む場合は、上位のレベルとして対応する。

事故時の対応手順

  • ① 救命、健康障害の拡大防止のための治療や処置を最優先とする。
  • ② 必要に応じて支援を要請する(コードブルー、専門の医師)。院内のみで対応困難な場合は、遅滞なく他の医療機関に協力を求め、必要なあらゆる情報を提供する。
  • ③ 病棟師長、病棟担当医あるいは当直医に報告する。
  • ④ 使用済み医薬品・医療材料・医療機器等を現状保全あるいは回収する。
  • ⑤ 適時、診療記録を記載する。
    • ・初期対応が終了次第速やかに記載する。
    • ・処置・薬剤など実施内容・患者の状況についてできる限り継時的に記載する。
    • ・事実を客観的に正確に記載する。推測や予測に基づく記載をしない。
    • ・患者・家族(遺族)への説明や内容・やりとりは必ず記載・入力する。
    • ・記録の改ざん・隠滅は厳禁とする(電子カルテは修正履歴が残る)。
    • ・正確を期すために可能な限り上司又は同僚の点検を受けながら記載する。
  • ⑥ 看護部長、病院長、医療安全管理者等に報告する。
  • ⑦ 患者・家族に連絡・説明する。
    • ・原則主治医が説明する。師長が同席する。
    • ・事故と判断される場合は、原因究明と適切な時期に説明をする旨を告げる。

行政機関等への届出

事務長は、法令等の定めにしたがって、警察、行政機関(保健所)、医療事故調査・支援センター、保険会社、顧問弁護士、上級機関に届け出る。

[6]職員教育

医療安全委員会は教育学習委員会と協力して次の取り組みを行う。

① 啓発
  • 全体朝礼での報告
  • ニュースの発行
  • この指針の開示(院内ネットワークで参照可能)
  • 事故防止ポスターの掲示
② 教育
  • 各部門における事故防止確認のための業務開始時ミーティングの実施、他施設の事故事例の学習
  • 小グループや実習、ビデオ教材等を活用した学習
  • 年2回程度、全職員を対象とした医療安全管理のための研修実施。

[7]指針の開示

この指針は、ホームページを通じて、患者・組合員、一般の方々に公開する。

[8]患者からの相談への対応

医療安全に係る病状や治療方針などに関する患者からの相談に対しては、医療福祉相談室を窓口とし、誠実に対応、必要に応じ主治医、担当看護師等へ内容を報告する。

[9]指針の改定

この指針は、適宜医療安全委員会で検討・修正し、管理会議へ報告する。

[10]資料

医療介護事故防止のための組織図(資料①

当院における院内感染対策指針

1. はじめに

この文書は総論であり、各論は別途定める。

(1)院内感染対策の目的

  • [1]患者様の安全確保
  • [2]職員への感染防止(職業感染の防止)

(2)留意点

  • [1]感染者の人権、QOLへの配慮
  • プライバシー保護、療養生活をできるだけ制限しない
  • [2]職員が正しい知識を持ち、むやみに恐れない、逆に、軽視しない。

2. 院内感染の基礎知識

(1)院内感染の定義

入院後48~72時間以上を経てから起きた感染症、退院後10日以内に起きた感染症、手術手技後30日以内に起きた創部感染、異物植え込み術後1年以内に起きた感染など。
*退院後に発症しても、入院中に接種された微生物による感染症であれば院内感染となる。

(2)主な感染経路と代表的疾患

  • [1]接触感染:MRSA、セラチア
  • [2]飛沫感染:インフルエンザ、風疹、ムンプス、マイコプラズマ、溶連菌、アデノウイルス等
  • [3]空気感染:塗抹陽性結核、麻疹、水痘
  • [4]針刺し事故:B、C型肝炎、梅毒、HIV

*飛沫感染と空気感染は、対処法が異なることに注意

(3)院内感染予防の現場での方法について

詳細は感染対策マニュアル各論に準拠する。

  • [1] 院内感染対策は、「標準予防策」と「感染経路別予防策」によるダブルプロテクション(二重防御)のシステムですべての感染症への対応が可能となっている。
  • [2] 感染経路別予防対策とは、(2)で述べた感染経路を遮断することにある。すなわち、空気予防策(N95マスクの着用)、飛沫予防策(サージカルマスクの着用など)、接触予防策(器具の専用化、入室時の手袋・エプロンの着用など)の3つがある。
  • [3]標準予防策Standard Precautionsについて

     標準予防策Standard Precautions(SP)はCDCの隔離予防策のガイドラインで登場した新しい用語である。これは普遍的予防策Universal Precautions(UP)の思想を受け継ぐもので、全患者に共通して実施される、疾患非特異的な感染対策である。UPはエイズ患者の増加にともなって発達してきた考え方で、「すべての患者の血液・体液は感染性あり」とみなして血液・体液に接触するときには必ず手袋などを着用して対応するというものである。したがって、普遍的血液体液予防策Universal Blood and Body Fluid Precautionsというのが本来の呼称である。これはもともと医療従事者をHIV感染から守るために始まったものであるが、血液・体液のみならず、患者の喀痰・便・尿などの分泌物・排泄物(これらを湿性生体物質と呼ぶ)にも拡大して適用されることになってからは、欧米諸国では病院感染防止の標準的な方法として定着してきた。用語上の混乱を防ぐために、米国では1996年にCDC(疾病管理予防センター)が普遍的予防策を改訂して標準予防策を発表した。
    当院においても、この標準予防策を感染対策の基本とし、遵守を徹底する。

<手洗い>

標準予防策では、次のような場面では手洗いすることを勧告している。

(1)湿性生体物質や汚染器具に触れた後、(2)患者の診察前後、(3)侵襲的手技の前後、(4)手袋を外した後。手洗いは流水と石けんを使うのが標準的な方法である。
流水もしくは流水+石けんでの手洗いを15秒以上、目に見える汚れが無い場合は速乾性手指消毒薬で消毒する。手洗い後はペーパータオルで拭く。(詰め替え用の石鹸液は使用しない)

<手袋>

患者の湿性生体物質で手が汚染されそうなときは、手袋を着用する。種々のカテーテル挿入時、包交、おむつの交換、サクション、静脈切開などの血管侵襲手技などの時、さらに創部、粘膜に触れる時も膿・浸出液による汚染のおそれがあるので使い捨て手袋を着用する。使用後はすぐに手袋を外し必ず手洗いをする。もしくは目に見える汚れが無い場合は速乾性手指消毒薬で消毒する。

<エプロン>

湿性生体物質で衣服が汚染されそうなときは、プラスチックエプロンを着用する。その着用に当たっては白衣は半袖のものであることが望ましい。半袖ならば前腕が汚染されても容易に洗い落とすことができる。

<マスクとゴーグル>

湿性生体物質で顔面が汚染されそうなときは、マスクやゴーグルを着用する。

<リネン>

リネンについては特別の規定はない。

<隔離>

環境を汚染させるおそれのある患者は個室に入れる。
当院の隔離基準は別途定める。

<器具>

汚染した器具は、粘膜、衣服、環境などを汚染しないように注意深く操作する。再使用のものは清潔であることを確かめる。

<針刺し事故防止対策>
  • (1)使用後の針はリキャップしない。
  • (2)手で使用後の針を注射器から外さない。
  • (3)穿刺耐性の硬い容器にディスポ注射器・針、メス、ガラス片、トロッカーなどを捨てる。
  • (4)血液をこぼした時は、まず手袋をし、乾いたペーパータオルで拭き取り、専用の容器に捨てる。その後、次亜塩素酸溶液で拭く。

*中心静脈穿刺後
医師は、セット内の膿盆に使用したすべての針を入れて終了すること

 

3. 感染対策の体制

  • (1)管理会議が最終的に責任を持つ。
  • (2)感染対策委員会を月1回開催する。
    設置要綱は別紙
  • (3)早急な対策が必要なときは、院長、総師長、事務長が協議の上、指示を出す。

もしくは必要に応じて、事務局会議や臨時の感染対策委員会を開催し、対策を講じる。

4. 院内感染監視(サーベイランス)の方法

(1)集団としての感染状況把握のため以下のような体制をとる。

  • [1] 細菌検査は1週間ごとに検査室が、院長・2病棟・3病棟担当看護師にレポートを提出する。レポートで新規発生があれば、主治医、職責者へ連絡し、対策を講じる。
  • [2] 2病棟・3病棟師長(または日責者)は、毎日病棟に上がってくる細菌検査伝票をチェックする。新規感染発生があれば、感染症発生報告書を作成し、また、主治医へ口頭で連絡する。報告書は、感染対策委員会事務局と院長へ提出する。

* 特に注意が必要な細菌
MRSA、セラチア、緑膿菌(多剤耐性)、腸球菌(VRE)、結核

(2)定期的な感染モニター

  • [1] MRSA、セラチア、多剤耐性緑膿菌などの毎月の発生状況を調査する。
  • [2] 1年に2回水周りのレジオネラ検査を行う。(各論参照)

5. 職員教育

  • [1] 当院の感染対策マニュアルを学習。
  • [2] 全体学習、職場学習で取り組む。
  • [3] 適宜研修会へ参加。

6. 広報

  • [1] 感染対策委員会の報告は管理会議へ行う。
  • [2] 全体朝礼で、職員への注意を促す。
  • [3] LANシステムが構築されれば、適宜情報を載せる。
  • [4] 委員会として院内感染対策に関するニュースを各部署に発行し、情報の共有に努める。
  • [5] 行政からの感染に関する情報が届いたら、コピーして各部署に配布する。(担当:庶務課)
  • [6] 患者、利用者やその家族は、院内感染対策に関する本指針、手順書を文書や当院ホームページ上で閲覧することができる。

参考文献

  • ・みんなではじめる感染予防 全日本民医連感染制御ガイドライン2004年版
  • ・院内感染対策テキスト改訂3版。日本感染症学会編集。1999年
  • ・ユニバーサルプレコーション実践マニュアル 新しい感染予防対策。「医療の安全に関する研究会」安全教育分科会編。1998年
  • ・福岡大学病院院内感染対策マニュアル

いのちの章典

玉島協同病院では、「患者の権利章典」を守り発展したいと考えています。

■はじめに

日本生活協同組合連合会医療部会は「医療生協の患者の権利章典」「医療生協の介護」を策定し、事業と運動の質を高めてきました。これらの活動を引きつぎ、2010年日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発足しました。
医療福祉生協は、いのちとくらしを守り健康をはぐくむ事業と運動を大きく広げるため、これらの成果を踏まえ、医療福祉生協連の設立趣意書の内容を基本にして「医療福祉生協のいのちの章典」(いのちの章典)を策定します。
「いのちの章典」は、憲法をもとに人権が尊重される社会と社会保障の充実をめざす、私たちの権利と責任を明らかにしたものです。

■医療福祉生協とは

医療福祉生協は、地域のひとびとが、それぞれの健康と生活にかかわる問題を持ちよる消費生活協同組合法にもとづく自治的組織です。医療機関・介護事業所などを所有・運営し、ともに組合員として生協を担う住民と職員の協同によって、問題を解決するための事業と運動を行います。

■医療福祉生協が大切にする価値と健康観

私たちは、近代市民社会の大原則であり、日本国憲法の基本理念である主権在民の立場にたちます。私たちは、憲法13条の幸福追求権や9条の平和主義、25条の生存権を実現するため、主権在民の健康分野の具体化である健康の自己主権を確立します。
私たちが大切にする健康観は「昨日よりも今日が、さらに明日がより一層意欲的に生きられる。そうしたことを可能にするため、自分を変え、社会に働きかける。みんなが協力しあって楽しく明るく積極的に生きる」というものです。
私たちは、この価値と健康観にもとづき、医療・介護・健康づくりの事業と運動をすすめ、地域まるごと健康づくりをめざします。

■いのちとくらしを守り健康をはぐくむための権利と責任

ともに組合員として生協を担う私たち地域住民と職員には、いのちとくらしを守り健康をはぐくむために、以下の権利と責任があります。

<自己決定に関する権利>
私たちは、知る権利、学習権をもとに自己決定を行います。
<自己情報コントロールに関する権利>
私たちは、個人情報が保護されると同時に、本人の同意のもとに適切に利用することができるようにします。
<安全・安心な医療・介護に関する権利>
私たちは、安全・安心を最優先にし、そのための配慮やしくみづくりを行います。
<アクセスに関する権利>
私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように社会保障制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います。
<参加と協同>
私たちは、主体的にいのちとくらしを守り健康をはぐくむ活動に参加し、協同を強めてこれらの権利を発展させます。

2013年6月7日
日本医療福祉生活協同組合連合会第3回通常総会にて確定

利用者の個人情報保護について

当事業所では、利用者のみなさまに安心して医療・介護サービスを受けていただくために、利用者のみなさまの個人情報の取扱いに万全の体制で取り組んでいます。

■倉敷医療生活協同組合 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)

倉敷医療生活協同組合(以下「組合」という。)は、個人情報保護は重要な責務と考え、組合員・利用者が安心して利用していただけるよう、「個人情報の保護に関する法律」等の法令に基づき、この個人情報保護方針を定め、全職員に徹底を図り、確実な個人情報の保護に努めます。

1.個人情報の適切な収集・利用について
  •  組合は、個人情報を収集する場合、目的を明確に定め、事前に本人の同意を得てから行います。個人情報の利用は、事前に明確にした目的の範囲内で行います。その他の目的に使用する場合は、利用目的をあらかじめお知らせし、書面により本人の同意を得たうえで実施します。
2.個人情報の安全管理について
  •  組合は、個人情報保護に関する規則を策定し、組合員・利用者の個人情報の安全管理に努めます。また、取り扱う個人情報について、正確かつ最新の状態に保ち、個人情報の漏洩、紛失、破壊、改ざん又は個人情報への不正アクセスを防止するために適切な措置を講じます。
3.第三者への個人情報の提供について
  •  組合は、以下の場合を除き、個人情報を第三者に提供することはありません。
     ①本人から同意を得ている場合
     ②法令に基づく場合
     ③患者の生命の保護を目的とし、患者の同意を得ることが困難な場合
4.個人情報の確認・修正等について
  •  組合は、本人から個人情報の開示、訂正、利用停止等の請求があった場合は、諸規程に基づき適切に対応します。

2019年4月1日
倉敷医療生活協同組合

お預かりした個人情報は下記の目的に利用し、その取扱いには細心の注意を払っています。

■当事業所におけるの個人情報の利用目的

①医療提供
  • 1)医療・介護サービスの提供及び説明
  • 2)他の医療機関、介護サービス事業者等との連携
  • 3)審査支払機関又は保険者への照会
  • 4)上記関係機関からの照会に対しての回答
  • 5)審査支払機関又は保険者及び公費負担医療に関する行政機関等への照会
  • 6)診療のため、外部の医師等の意見・助言を求める場合
  • 7)検体検査業務の委託、その他の業務委託
  • 8)ご家族等への病状説明
  • 9)その他、利用者への医療・介護サービス提供に関する利用
②診療費請求のための事務
  • 1)当事業所での医療・介護・労災保険、公費負担医療に関する事務及びその委託
  • 2)審査支払機関へのレセプトの提出
  • 3)審査支払機関又は保険者からの照会への回答
  • 4)公費負担医療に関する行政機関等へのレセプトの提出、照会への回答
  • 5)その他、医療・介護・労災保険、及び公費負担医療に関する診療費請求のための利用
③当事業所の管理運営業務
  • 1)会計・経理
  • 2)医療事故等の報告
  • 3)利用者への医療・介護サービスの向上
  • 4)その他、当事業所の管理運営業務に関する利用
④企業等から委託を受けて行う健康診断等の結果の通知
⑤医師賠償責任保険等に係る、医療に関する専門の団体、保険会社等への相談又は届出等
⑥医療・介護サービスや業務の維持・改善のための基礎資料
⑦当事業所内において行われる医療実習・医療研究への協力
⑧医療・介護の質の向上を目的とした倉敷医療生協内外における症例研究及び協力
⑨外部監査機関への情報提供
⑩治験又は製造販売後臨床試験に係る調査及び支援業務の委託
⑪医療生協のご案内
  • 1)職員からの医療生協加入及び出資のお勧め
  • 2)職員からの医療生協企画等のご案内
1. 他の医療機関等への情報提供およびお名前の呼び方等、個人情報の利用にあたり同意しがたい事項がある場合には、その旨をお申し出ください。
2. お申し出がないものについては、同意していただけたものとして取り扱わせていただきます。
3. これらのお申し出は、後からいつでも撤回、変更等をすることが可能です。
4. 個人情報の取り扱いについてお気づきの点は、窓口までお気軽にお申し出ください。

倉敷医療生活協同組合

2017年7月1日
倉敷医療生活協同組合

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